そもそも乳酸菌とは?
そもそも乳酸菌とは何かという話ですが、これはエネルギーを生み出すために糖を分解して乳酸を作る乳酸発酵をする菌の総称であって、科学的な分類ではありません。かなりアバウトな分類なのです。
そして乳酸発酵にも種類があります。糖からエネルギーの他に乳酸だけを生み出すホモ発酵と、乳酸の他に炭酸・アルコール・酢酸なども一緒に生み出すヘテロ発酵があります。
この乳酸発酵はエネルギーを生み出すためだけなので、それとは体外で別にタンパク質を分解して、生存に必要なアミノ酸を生み出したりします。
※参考文献
辨野 義己 (2011) モダンメディア 57巻10号 プロバイオティクスとして用いられる乳酸菌の分類と効能
ヨーグルトの味を左右する要素
・発酵温度と時間
・水分量と脂肪量
・菌の種類
・酸素量
例えばブルガリアヨーグルトであれ、牛乳10:ヨーグルト1で40度で8時間で作ることが出来ます。しかしこれはあくまでもブルガリヨーグルトの場合です。
R-1菌など商品によっていろいろな菌が使われているように、ヨーグルトの発酵は様々な菌で行うことが出来ます。家庭用でヨーグルトを作る場合は、市販のヨーグルトを種にヨーグルトを作ると思いますが、その種になるヨーグルトで最適温度が異なるわけです。細菌はヨーグルトを自作する人がとても多いので、自分が使いたいヨーグルトの種について検索してから作ると、失敗しないで作れる温度が分かると思います。
夏に食べ物を置いとくと痛みが早いように、温度は高めにすると発酵は早く進む傾向にあります。ただし、発酵を早く進めると舌ざわりや味にも影響するので、温度を低めに設定するほうが美味しく出来る傾向にはあると思います。
更に牛乳などに含まれる酸素も影響します。乳酸菌は酸素のない嫌気状態になると発酵が進みやすくなります。家庭で作る場合では操作が難しい要素ですが、工業的に作る場合は重要だったりします。
ヨーグルトの味の要素として、水分量や脂肪分があります。大体の食べ物が脂肪分が多いほうが美味しいように、ヨーグルトでも脂肪分が美味しく感じます。また、水分を上手く飛ばすことが出来れば、それもまた味にかかわります。
理にかなった素焼きの壺
ブルガリアヨーグルトの伝統的な製法は素焼きに牛乳を温めて入れ、余熱で発酵させます。この作り方は理に適っていて、温度が低めなので低温発酵に近い状態となります。そして素焼きの壺は水分を少しづつ飛ばすので、ヨーグルト中の水分を減らすことが出来ます。
※参考文献
堀内 啓史 (2012) ヨーグルトの温故知新―ブルガリアの伝統的なヨーグルトを科学することで生まれた研究成果―
植物性と動物性
植物性乳酸菌という言葉を聞くことがあると思いますが、これは植物由来の乳酸菌という意味です。ただ、これも実は結構アバウトな分類で、例え植物由来であっても動物性由来でも存在する菌だったりもします。
そもそも伝統的なブルガリアヨーグルトは木の枝に付着した乳酸菌から作るわけですから、かなりマーケティング要素が強い言葉の気がします。
※参考文献
横山 勉 (2017) JAS情報 乳酸菌を考える
豆乳ヨーグルトについて
牛乳の代わりに豆乳を使ってヨーグルトを作る人もいますが、家庭では主に二種類の作り方があるようです。
一つ目は一般的なヨーグルトと同じく、市販のヨーグルトを種に豆乳で作る方法です。もう一つは米のとぎ汁を発酵させ、それを種にする方法です。米のとぎ汁を炭酸が出るまで数日発酵させ、腐敗臭がしなければ完成です。
炭酸が発生してるのだから、そもそもこれは乳酸菌発酵ではないのでは?という人もいますが、おそらくこれも乳酸発酵だと思われます。炭酸が発生する原因は二つ考えられます。最初の乳酸菌についてで触れたように、乳酸菌の中には乳酸と一緒に炭酸を生成する菌がいるからそのためという可能性。もう一つは酵母との相乗効果で発酵が進むというものです。乳酸発酵自体乳酸菌だけの単独で進めるよりも、複数の菌つまり酵母などと一緒のほうが相互に足りない部分を補いあうことで発酵が早く進んだりします。なので炭酸は酵母菌が生成しているという可能性です。
もっともヨーグルトを種にする以上に雑菌が入る可能性が高いはずでもあるので、その点を知ったうえで作るべきだとも思います。
ヨーグルトメーカーを格安で手に入れたので今回の記事を書いてみました。飽きずにヨーグルトを作り続けられたら、記事をそのうちアップデートしたいと思います。
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